地域社会の活性化においても、リーダーとして期待されているあかぎ信用組合では、その期待に応える一環として、伊勢崎商工会議所の青年部にも職員を派遣。平成18年(2006年)から、その任を担っているのが小野里である。
「商工会議所の青年部には、伊勢崎の未来を考える企業の後継者たちが数多く参加しています。株式会社YSKの吉田社長も、そうした中の一人でした。青年部の活動を通して知り合いになり、吉田氏が青年部の会長に就任する際には、同氏からの要請で、私がある委員会の委員長を引き受けました。それが縁で、伊勢崎の未来を切り拓いていく同志という意識が強くなり、自らが経営に携わっている会社のことについても、いろいろとご相談を受けるようになったのです」
当時、YSKでは、他の金融機関がメインバンクを務めており、すぐに取引を始めるというわけにはいかなかった。だが、会社の将来についても、いろいろ課題を抱えていた吉田社長は、気心の知れた小野里に何かと相談を持ちかけるようになる。
「吉田社長が最も心を砕いていたのが、培った技術力をどう次世代に継承していくかということでした。技術者の高齢化が進む一方で、なかなか次の時代を担う若手の採用がうまくいっていなかったのです。そのため、若手が働きがいのある職場にするための人事制度等で、よく意見を求められました。一方、事業であるアルミダイカスト業界等についての知識は、いろいろ教えていただきました」
法人としての取引には至らなかったものの、こうした意見のキャッチボールを通して、吉田社長個人の預金口座を開設していただくなど、さらに関係が深まっていく。
現在は、会社の資金繰りや設備投資資金、相続対策等についても、相談を受ける関係に発展。いよいよ法人としての取引も始まろうとしている。
「吉田社長とは、単なるビジネス上の取引だけでなく、プライベートで飲みに行ったりゴルフに行ったりと、人生の先輩としていいお付き合いをさせてもらっています。もちろん青年部の活動にも、これまで以上に力を入れていきたいと思っています」
小野里の言う青年部の活動とは、青年部が主導して開催しようとしている伊勢崎地区に特化したビジネスサミットのこと。
「100社以上に参加していただき、地域の活性化につながるビジネスマッチングの機会を提供できればと思い、吉田社長にもアドバイスを仰ぎながらプロジェクトを進めているところです」
こうしたビジネスだけの付き合いを越えた深い人間関係が築けるのは、地域に根ざした活動ができる信用組合ならではと言えるだろう。
お客様からひとこと
小野里さんとは青年部で知り会って以来、8年以上のお付き合いになります。特に、私が会長に就任した平成23年度には、委員会の委員長を務めていただき、獅子奮迅の活躍をしていただきました。こうした活動を通して、小野里さんの伊勢崎を想う気持ちや誠実な人柄を痛感することができたので、本業でもいい関係を築きたいと思っています。